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高知行軍 その1 3人目の男

高知にいったのは初であるが、私は高知というものの真髄に触れた気がするのである。

 

まず高知を語るうえで外せないのは「坂本龍馬」と「やなせたかし」である。

高知の空港は当然「高知空港」であるが、この県は「高知龍馬空港」といてはばからない。

お土産から銅像。カラオケ屋運転代行の名前に至るまで「龍馬」があふれている。

 

「やなせたかし」さんのデザインしたキャラクターは文明を感じる場所であれば夜の場所以外であれば大抵存在している。

 

あと「現代企業社」様があふれている。道の駅やカフェでたびたび目にした。たぶんこの会社が高知のカフェ文化・「モーニング(朝カフェ行くと味噌汁がでる)」のフィクサーである。アイキャッチ写真はその現代企業社様のお店の一つ「穀物学校」の定食である。肉に掛かったまろやかなソースがたまらない。

 

高知は自然豊かな場所である。他の件と比べても「人工」があまり介在していない。ゆえに見どころは「自然・著名人・夜の街」に収束される。こうなった県は「あの有名人の出身地だよ」「あの居酒屋イイよ」「うちめちゃくちゃ田舎だよ」とかそういう話で事足りるさみしさがある。

 

しかしそれにしても「自然」に振り切っている県なのだ。ここまで自然に寄った県は類を見ない。それも「美しい自然」を推しているのではない。

「ありのままの自然」いわば原風景としての自然を感じさせる。人が可能な限り現代文明を保ったままで、どこまで自然に寄り添えるのか。その回答をこの県は今の人類に見せているように私には思えるのだ。

 

それにはきっと坂本龍馬でもやなせたかしでもない、第3の男が関係している。。。

 

「牧野植物園」という名所がある。おそらく高知で一番優れた施設であり、日本で一番優れた植物園である。この植物園は牧野富太郎なる人物の鶴の一声で建造が着手された。

この「牧野富太郎」こそ高知の体現者であり、高知の方向性を決定づけた男であるのだ。

 

牧野富太郎が誰かをここで詳しく書くと長くなってしまうので皆様で調べてほしいのだが、一言でいうなれば日本の植物学の第一人者である。自らを「草木の精」と生涯名乗るほど植物に取りつかれた人間である。植物学が根付いていない日本で植物を研究し、膨大なスケッチを残し、新種の植物を発見した。その手腕は世界的にも認められるほどである。

牧野は生前から植物園の必要性を提唱していた。確かに日本は今現在も植物園はあまり多くない。また、あったとしても基本温室の中のものである。あとはいくつか花が咲いているエリアがあるくらいか。

 

この植物園はそう言った植物園とは一線を画す。「建物に植物を管理するエリアを設置する」のではなく基本「多種多様な植物を管理できるように施設自体を建造する」思想でなされている。

ゆえに温室のアリアが少なく、ほとんど自然のままで、本来日本に生えない植物が生育している。

また高知は基本暑いのだがこの植物園は涼しい。自然が生い茂っているのにである。

 

そのためこの植物園は外から見ると「山の中にデカい温室がひっそり立っている」ように見えるが、実際はその温室よりはるかにデカい山の一体がこの植物園の正体である。

この温室自体も作りが素晴らしい。入口は「古びて打ち捨てられた西洋風の建物」なのだが、当然生えている植物や絡みつくツタはすべて管理された展示物である。実際に写真を見てほしい。

 

 

 

 

また、「人々に植物を見て感じてほしい」という点から、一部植物の葉っぱをちぎって嗅いだり、毛の生えた植物を触るコーナーもある。なんとすばらしいことであろうか。横にはやなせたかし氏のかいた植物を擬人化したキャラクターも大勢いる。キャラクターが「ちゃん」か「さん」で氏の中でも植物のイメージもわかるのも見どころだ。

 

そしてこの植物園。実は、牧野氏が存命中に完成を見ることはなかった。この植物園は至る場所で山下の高知の街が見えるようになっている。植物園と同時に自然に囲まれた高知の暮らしを見ることもできるのだ。それは牧野氏が見たかった夢の続きのようなものであるかもしれない。

 

 

 

 

 

 

そしてそんな牧野氏が好きだから、高知県民は自然があふれ、自然を感じる高知が好きなのだろう。

その証拠にこの植物園は牧野氏の歴史博物館のような側面を有し、そのためだけのコーナーもある。朝ドラのサインが展示されているのも牧野氏のコーナーだ。

高知の自然を学ぶのは牧野氏を学ぶことでもある。

 

近くには市民の描いたスケッチなどを展示するエリア・ショーや演奏会などを行うエリアもある。とことんまで県民市民に寄り添った植物園だ。このような植物園はほかにない。

 

成ればこの植物園は巨大な社会的資本であると同時に個人の願いの集大成でもある稀有な例であるといえよう。

 

ぜひ皆様も高知に行って植物園へ足を運んでほしい。

 

 

 

 

 

 

 

 

2025年05月07日 更新